2016/08/16 00:07

つくりたいベーグルのイメージはあって、それを強力にサポートしてくれるパンのスペシャリストもいる。

ではどうやって販売用に製造するのか?
これが大きな問題でした。

そんなときにご縁があって紹介してもらったのが、ある障がい者福祉施設でした。
新潟市江南区にある“メイプルかめだ”さんです。
こちらは障がい者に就労移行支援などを行っている福祉サービス事業所ですが、グループ内であらたなサービス事業を立ち上げたいというタイミングでした。
その内容が就労移行支援A型という「一般企業への就職が困難な障がい者に就労機会を提供するとともに、生産活動を通じてその知識と能力の向上に必要な訓練などの障がい福祉サービスを供給することを目的としている」もので、「障がい者と雇用契約を結び、原則として最低賃金を保証するしくみの“雇用型”の障がい福祉サービス」です。

つまり障がい者を雇用しながら生産活動をやるという一般企業に近い形です。
メイプルかめださんとしては既にグループ内に厨房設備をもっており、そこで「何を作って、どうやって販売していくか?」を模索している段階でした。
そこに「ベーグルを製造して販売したい!」という男が現れたわけです。

それからはパンの専門家・更家さんも交えて協議検討を重ね、一緒にベーグルを製造することで合意をしました。
ベーグル製造は新設された“メイプル・ぷらす”という福祉サービス事業所の中心事業として2015年4月より本格的に始動することになります。
メイプル・ぷらす内に施設職員と精神障がいや知的障がいをもつメンバー(利用者)さんで「ベーグル製造チーム」が編成され、更家さんによる製造トレーニングがスタート。
新潟市美術館の喫茶室への出店は、プロポーザルの結果幸いにも当方のプランが採用されました。
こうして僕たちの製造するベーグルは「西大畑ベーグル」として新潟市美術館ミュージアムカフェにて販売することとなりました。



このようないろいろなご縁が繫がって「西大畑ベーグル」を販売させて頂いています。
僕にとっても予想外の展開でしたが「自分のやりたいこと=ベーグル製造」が障がい者雇用に役にたつのであれば、一石二鳥というと言葉は違うのかもしれませんが、なんだかワクワクしたのを覚えています。
自分のやりたいことが他の面でもなにかに貢献できるとしたら、とても素敵なことだと思いませんか?

もちろんこのプランが実現するまでにはいろいろなハードルがありましたが、ひとつひとつクリアしながら現在ではクオリティの高いベーグルが製造できていると自負しています。
ベーグル製造チームがスタートしてから沢山のトレーニングを重ね、メンバーさんたちはカフェオープンまでの約3ヶ月半で立派なパン職人に成長してくれました。
それには僕のつくりたいベーグルのイメージを具体的なレシピに起こし製造指導をしてくれている更家さんや、製造チームのメンバーをサポートしているメイプル・ぷらす職員さんを抜きには成しえなかったことなので、常に感謝をしています。

こうして誕生した「西大畑ベーグル」を多くの方に食べていただきたく、カフェスタッフと共にこれからも精進していきたいと思います!
召し上がった感想などもお聞かせいただけると嬉しいです。
まだ召し上がったことのない方はぜひお試しくださいね!



↓こちらは2015年9月に新潟日報にベーグル製造の取組みを取材頂いた記事です。